マサミ体験
何年ぶりでしょうか。
このブログを更新するのは
そして、何年ぶりでしょうか。
こちらの店への来店は。
どちらも、5年くらいは空いているような気すらします。
ですが、やはり今日も、きちんとマサミはマサミでしたので、
久々に更新したくなってしまいました。
まず、こちらの店に向かう際は、
余裕時間が2時間はないと危険です。
私の方は本日は、ちょうど裁判の期日と期日の間がそれくらい空いていたので、
久々に向かってしまいました。
そんな余裕のない方は、時間をずらしての来店(も、空いてる時間短いみたいなので無理なんですね。)。
または、またの機会にされてください。
さて、気を取り直して、マサミに向かいます。
もはや沖縄のラーメン好きでこの名前を聞いたことがない人はいないでしょう。
肉マースソバマサミ
某・〇べログさんでも県内のラーメンではおそらく一番の評価をいただいているのではないかと思います。
さて、私のマサミ評を先に言っちゃいます。
ここはラーメンを食べたくて行く店ではありません。
マサミ。というその非日常空間を体験しにいく店なのです。
さて、だいぶ?の準備は整ったかと思いますので、
早速、店に向かいましょう。
国道330を那覇から浦添方面に向かい、安里から新都心に上がる前に側道に入り、
交差点を右折します。
とりあえず、そのあたりのパーキングに駐車して店に向かいます。
11時50分くらいに到着したのですが、
店の前には3名くらいの方がお待ちです。
中をのぞくと、中にも4名くらいの方がお待ちのようでした。
都内の激戦ラーメン店などに並んでいる方々からすれば、
なあんだ。そんなものか。と思ってしまうこの並び。
ですが
はい。一時間待ち確定コースです。はい。
その答えはこれから分かります。
さて、店外から、店内を覗いてみます。
中のモニター。
今日は初めて見る、長髪の外国人と思われるバンドのライブ映像が流れています。
ドキドキしながら、店外で待っていると、
私の後ろにも一人また一人とお客様がやってきます。
とりあえず前の1名と2名の方が中に入り、ようやく私も中に入るタイミングがやってきました。
店内は相変わらずの張りつめた空気。
無駄話をしている人は一人もいません。
おそらく、全員が経験者。
これこそがマサミです。
券売機に向かいます。
券売機には、「あっさり」並・小
「ふつう」並・小
「こってり」並・小
の文字。
ふむふむ。そういえばこんなんだったな。
と思いながら、よく見ると、すでに「こってり」のボタンは「売り切れ」の赤い文字が光っています。
この時間(11時50分着)にこれという事はもともと今日は出すつもりなかったのかな?
とうがった見方をしていたら、
私が店内に入ってすぐにラーメンが提供されていたおじさまに対して
「こってり並」と告げるマサミちゃん(店主の名前が分からないので、勝手にこのブログでは店主をそう呼ぶことにしましたが、本当は違うかもしれませんので、そこはご容赦ください(店主の方も違った場合、何卒お許しください。)。)。
おお。あったのね。
「なんでだろう?」と疑問符が。
そう。この店は、頭に浮かぶ数々の疑問符?と
一人でゆっくりと闘う店。
とりあえず、ここは、仕方ないので「ふつう」の並をプッシュです(というか、今まで「ふつう」以外をプッシュしたことないので、今度こってりがあれば一度押してみようと心に決めました。)。
基本どこでも大盛注文の私にとって、大盛ボタンがないことも
おおいに疑問符なのですが、そこについて要望を出すことなどできないことは
この店が10年以上前からこのスタイルで続けていることからも暗黙の了解。
とはいえ、久しぶりなので、チャーシューでも追加して、ごはんを食べちゃおう。と
ライスボタンもプッシュ。
チャーシューはどこかな~?と探してみると、ボタンがない。
おかしいな?どこかの誰かのインスタか何かで肉追加。
とか記載のあるものを見た気がしたのに。
と思って回りを見ると。
食券機の右上あたりに、「肉の追加は現金で直接承ります。」的な文言が。
ほお~。
現金か。
しかも追加はいくらかって書いてない。
「ハードル高けえなあ。」
と少しビビる私。
しかし、やるしかない。
ラーメン800円+ライス100円、計900円を1000円札で買ったので、
100円はおつりがある。
小銭を見ると、さらに200円くらいはある。
肉追加が300円までであれば、
1000円札を出す必要はないから、スムーズに頼めるはずだ。
と小銭と食券を握りしめながら、ドキドキと待つ私。
そう。ここマサミでは、マサミちゃんの許可を得ていないのに、先に話しだすことはご法度なのである(というか、そんな空気が流れているのである。)。
後ろの席で待っている間に、
あとどれくらい待てば食べられるかを考える。
私の前は、2、2、1、2といった感じ。
最初の2人組(最後のこってりを食べたおじさま達)が席を立つと次は私の番であった。
マサミちゃんの声がかかったので、一番奥の席、モニターの目の前のある意味では最悪の場所に着席した。
この段階で問題は、私の前は、「2.1.2」組であることだ。
マサミに来た事のない読者は分からないかもしれないが、
マサミちゃんは、一回に2杯ずつしか絶対に作らないのである。
大事なことなので、もう一度いう。
一回に2杯ずつしか作らないのである!
そう。
絶対に
いつだったか、私が数年前に、マサミに来た時、
私の前に某芸能人と思わしき方が、3名で来店していた。
その方々が、L字のカウンターに座りながら、食券を出すと、
「食券は聞かれてから出してもらえますか!」とマサミちゃんからのご指導が入り、
また3名であったためであろう。2名ずつしか出せないというようなことを言われ、座る位置までしっかりと怒られていた。
私はその時、誓った。
けしてマサミちゃんを怒らせるようなことはしまいと。
そして、逆にいえば、店内の誰もが、逆にいえば、
マサミちゃんのルールを破ろうとせん、ニューカマーの登場を
今か今かと待ち望んでいるようなそんな気すらする店なのである(ハプニング待ちのような)。
さて。そんな説明はさておき。
そのような過去の記憶があるため、私は、この後の展開がどういう事になるのか。
本当にドキドキしながら、マサミちゃんの一挙手一投足を見守った。
私とL字型のカウンターの対角線にいるサラリーマン風の2人組のところに
ラーメンが提供された(2・1・2の最初の2)。
そして、いつものとおり、ゆず七味の容器を回し、「後半になったら入れてみてください。」
というマサミちゃんの決め台詞も決まった!
さあ、次はどうするのか。
3個まとめて作るのか?それとも私の前の2人組を飛ばして、前の女性1人と私の2人分を先に?
ドキドキ
すると。
マサミちゃんは
ラーメンの容器置きを一つだけ、一人の女性客の前に置いた。
そして、その女性客から食券を預かると、
平然と1杯のラーメンを作り出したのである。
衝撃であった。
私の後ろにもまだ7名程度は待ちの客がいた。
その中で、あのマサミちゃんの一連のラーメン作りを一から、一人のために・・・。
確かに、2杯以上は作らないというマサミちゃんのルーティーンを守りつつ、かつ、それが公平や。
もはや感動である。
想像の斜め上をいく店。
これがマサミだ。
と思った。
ただ、こんなことになるのなら、そもそもカウンター席を7席という奇数にしていることが問題なんじゃないのかしら。
とかめちゃくちゃ大きな疑問符がわいてしまった私(だって、一人客が来ようが、偶数の席数しかなければ、ずっと2個ずつ作れますやん・・・・・・・・いや。)。
これは何なの?
拷問?(笑)
と、そうこうしているうちに、私の前の2人組のカップルのラーメンを作り始めたマサミちゃん。
待っている間に次に気になるのは、
真横のモニターから流れてくるメロディーである。
近づいた事でより音が大きくなった。
昔、初めて私がマサミを訪れた時。
横のモニターには、「チャップリン」の映画がずっと流れていた。
音のないチャップリンの映画と、決まった動きを繰り返すマサミちゃんのラーメン作りが
あまりにもマッチしていて、それも感動を覚えたものである。
しばらくはずっとチャップリンが流れていたため、私はマサミはこのまま変わらないと思っていたものであるが、
その後、久しぶりにやってきた数年前のいつかの時は、確か「ノッティングヒルの恋人」が上映されていて、
マサミちゃんの中にカラーという選択肢もあったのだと、何だかほっとすると同時に、
少し寂しくなったことを覚えている。
さて。そこで、すっとモニターを見ても、
私にはそのバンドが誰だかわからなかった。
時代でいえば、「バックトゥザフューチャー」?くらいの80年代くらいのアメリカの洋楽?
いわゆる長めのジャケットに細身のジーンズを合わせた、長髪の金髪男性バンドである。
待っている間、私はだんだんと、おそらくマサミちゃんの趣味なのであろうそのバンドの名前も知りたくなった。
Siriに聞けばきっと分かるだろう。
しかし、この店で声を出すことは至難の業である。
私は、マサミちゃんが麺の水切りに夢中になっている間に
この曲だれ?と小さくSiriに問いかけたが、「聞き取れません」的な回答が出た。
いらっとしながら、次のチャンスをうかがう私。
マサミちゃんがどんぶりに麺を入れ、
いったん汗を拭きに裏に入るその瞬間を狙って、
再度、「HEY SIRI この曲なんて曲?」と聞くとようやくSiriも気づいてくれた。
答えは「ジャーニー」
知ら~~~~ん。
なんか聞いたことのあるメロディーが一回は流れたのだが、
これは世代の問題なのかな?
すみません。マサミちゃん。
と、あまり意味のないことを考えていたら、
ようやく私の番が回ってきた。
マサミにおいては、食券を購入して席に着いたとしても、
食券を渡すのは、マサミちゃんに聞かれてからという暗黙のルールがある。
手に握りしめた小銭と食券は汗でびっしょりと濡れていた。
私と私の隣の本来は二人組で来店したかりゆし姿の男性のところに(それを指摘したら、私の分のラーメンも一人で作られていたのであろうか。)
おもむろに容器入れを置き、「食券を」と聞いてくれるマサミちゃん。
私は食券を出しながら、
勇気を出し、
私は、「肉増しっておいくらですか?」
と聞いた。
すると、マサミちゃんは、めんどくさがることもなく
「100円単位で、好きな金額を言ってくれればその分増やしますよ。」と説明してくれた。
何そのシステム~~~。
と少々面食らった私であったが、
想定していた300円でも足りる設定。
一応、初めてなので、「じゃあ~200円でお願いします。」。
と帰りのコインパーキング代を残そうとする、少しケチな私。
ようやく汗にまみれた小銭と食券を渡し終え、
あとは自分のラーメンを待つのみの時間がやってきた。
それから、これまでより、出す肉が増えたせいか、
肉をたたく作業を念入りに行うマサミちゃん。
私のせいでまた後ろの人たちの待つ時間が延びちゃうなあ。
申し訳ない。
と思いながら、待つこと10分。
ついに私の前に、
ふつうラーメン並肉増し(200円分)がやってきた。
そこで、まず、七味のボトルを開けながら、半分くらい食べた後に入れてみてください。
です。
その後、いつもと違う一言。
よかったら、これも入れてみてください。
が付け足されたのでなになに?とビビッていたら、自分で頼んだライスのためのごま塩でした。
優しいですよね。
マサミちゃん。
さて。話をラーメンに戻しましょう。

第一印象を言います。
え。肉増えてる?
です。(笑)
ただ、待ちに待ってます。
そんなこと言ってる暇はありませんので
まずは、スープをすすります。

はい!うまい~!
何でしょうね。
この味。
水のようなスープなんです。
なんていうか。
いわゆる出汁!
でもなく、塩!
でもない。
水のようなスープなんですね。
でもその奥にきちんと旨味が閉じ込められていて。
それでいて出すぎない。
なんでしょうね。
この味を食べると、
やはりこの繊細な人にしか作れない味なんだろなあ。
と思ってしまう。
そんな味。
その後、肉を一噛み(ここからは写真なんて撮ってません。すみません。)
うんわー。うめえ。
最後に振りかけられたフライドガーリックと、肉と、この麺。
そしてスープ。
いやあ。ライスも頼んでおいてよかった。
肉をしっかり受け止めてくれます。
そして、思った以上に肉がきっちり多くなっていることに今更気づきました。
マサミちゃん。ありがとう(いや、まあ当たり前といえば当たり前なんですが。)
その後はきちんとマサミちゃんの言いつけを守り、半分くらいのところで、七味を投入です(これもいきなり入れたらキレられるんちゃうかな?とか思いながら、誰かやってくれないかな?と期待する自分もいたり。)。
はあ~。これこれ。
この味変も旨いんですよ。
そして、ここにきて気づいたんです。私。
マサミでは、急いで食べる必要が無いんです。
だって、どうせ、自分が早く食べたところで、その次の3組のラーメンが出来上がらないと、次の方は食べられないわけですから。
そこではっと。
もしや、マサミちゃんのやろうとしていることはそういう事かと。
この何でもかんでも効率重視の世の中で、
急ぎに急ぎ、ロットを乱してはいけないなんて、ラーメン屋に来てまで、周りの目を気にして、人に気を使って、めちゃくちゃ並んで待ったくせに、食べるときには、急いで口にかけこまなければならないなんていう昨今の訳の分からない外食産業に、モノ申してるのかと。
外食産業の革命児なのかと。
そう感じながらも、結局、その旨さで結構なスピードで食べてしまいましたが、
最後はスープを少し残ったご飯にかけて、雑炊みたいにしてしっかりスープまで完飲したのでした。
何か、職人気質の寿司屋に来た時のような(こんな怖い店いった事ないけど)、とても充足した時間を過ごせました。
これが、マサミ体験です。
これが、ととのう。ってやつですかね(違います。)。
いや~。皆さんも時間があるときは、ぜひ行ってみてください。
そして、時間という概念から解放されるそんな修行のような体験をされてみてはどうでしょうか。
ご褒美として食べられるラーメンもとっても美味ですよ。
そして、マサミを体験して、どんな事を感じたか。ぜひ私にも教えてください。
このブログを更新するのは
そして、何年ぶりでしょうか。
こちらの店への来店は。
どちらも、5年くらいは空いているような気すらします。
ですが、やはり今日も、きちんとマサミはマサミでしたので、
久々に更新したくなってしまいました。
まず、こちらの店に向かう際は、
余裕時間が2時間はないと危険です。
私の方は本日は、ちょうど裁判の期日と期日の間がそれくらい空いていたので、
久々に向かってしまいました。
そんな余裕のない方は、時間をずらしての来店(も、空いてる時間短いみたいなので無理なんですね。)。
または、またの機会にされてください。
さて、気を取り直して、マサミに向かいます。
もはや沖縄のラーメン好きでこの名前を聞いたことがない人はいないでしょう。
肉マースソバマサミ
某・〇べログさんでも県内のラーメンではおそらく一番の評価をいただいているのではないかと思います。
さて、私のマサミ評を先に言っちゃいます。
ここはラーメンを食べたくて行く店ではありません。
マサミ。というその非日常空間を体験しにいく店なのです。
さて、だいぶ?の準備は整ったかと思いますので、
早速、店に向かいましょう。
国道330を那覇から浦添方面に向かい、安里から新都心に上がる前に側道に入り、
交差点を右折します。
とりあえず、そのあたりのパーキングに駐車して店に向かいます。
11時50分くらいに到着したのですが、
店の前には3名くらいの方がお待ちです。
中をのぞくと、中にも4名くらいの方がお待ちのようでした。
都内の激戦ラーメン店などに並んでいる方々からすれば、
なあんだ。そんなものか。と思ってしまうこの並び。
ですが
はい。一時間待ち確定コースです。はい。
その答えはこれから分かります。
さて、店外から、店内を覗いてみます。
中のモニター。
今日は初めて見る、長髪の外国人と思われるバンドのライブ映像が流れています。
ドキドキしながら、店外で待っていると、
私の後ろにも一人また一人とお客様がやってきます。
とりあえず前の1名と2名の方が中に入り、ようやく私も中に入るタイミングがやってきました。
店内は相変わらずの張りつめた空気。
無駄話をしている人は一人もいません。
おそらく、全員が経験者。
これこそがマサミです。
券売機に向かいます。
券売機には、「あっさり」並・小
「ふつう」並・小
「こってり」並・小
の文字。
ふむふむ。そういえばこんなんだったな。
と思いながら、よく見ると、すでに「こってり」のボタンは「売り切れ」の赤い文字が光っています。
この時間(11時50分着)にこれという事はもともと今日は出すつもりなかったのかな?
とうがった見方をしていたら、
私が店内に入ってすぐにラーメンが提供されていたおじさまに対して
「こってり並」と告げるマサミちゃん(店主の名前が分からないので、勝手にこのブログでは店主をそう呼ぶことにしましたが、本当は違うかもしれませんので、そこはご容赦ください(店主の方も違った場合、何卒お許しください。)。)。
おお。あったのね。
「なんでだろう?」と疑問符が。
そう。この店は、頭に浮かぶ数々の疑問符?と
一人でゆっくりと闘う店。
とりあえず、ここは、仕方ないので「ふつう」の並をプッシュです(というか、今まで「ふつう」以外をプッシュしたことないので、今度こってりがあれば一度押してみようと心に決めました。)。
基本どこでも大盛注文の私にとって、大盛ボタンがないことも
おおいに疑問符なのですが、そこについて要望を出すことなどできないことは
この店が10年以上前からこのスタイルで続けていることからも暗黙の了解。
とはいえ、久しぶりなので、チャーシューでも追加して、ごはんを食べちゃおう。と
ライスボタンもプッシュ。
チャーシューはどこかな~?と探してみると、ボタンがない。
おかしいな?どこかの誰かのインスタか何かで肉追加。
とか記載のあるものを見た気がしたのに。
と思って回りを見ると。
食券機の右上あたりに、「肉の追加は現金で直接承ります。」的な文言が。
ほお~。
現金か。
しかも追加はいくらかって書いてない。
「ハードル高けえなあ。」
と少しビビる私。
しかし、やるしかない。
ラーメン800円+ライス100円、計900円を1000円札で買ったので、
100円はおつりがある。
小銭を見ると、さらに200円くらいはある。
肉追加が300円までであれば、
1000円札を出す必要はないから、スムーズに頼めるはずだ。
と小銭と食券を握りしめながら、ドキドキと待つ私。
そう。ここマサミでは、マサミちゃんの許可を得ていないのに、先に話しだすことはご法度なのである(というか、そんな空気が流れているのである。)。
後ろの席で待っている間に、
あとどれくらい待てば食べられるかを考える。
私の前は、2、2、1、2といった感じ。
最初の2人組(最後のこってりを食べたおじさま達)が席を立つと次は私の番であった。
マサミちゃんの声がかかったので、一番奥の席、モニターの目の前のある意味では最悪の場所に着席した。
この段階で問題は、私の前は、「2.1.2」組であることだ。
マサミに来た事のない読者は分からないかもしれないが、
マサミちゃんは、一回に2杯ずつしか絶対に作らないのである。
大事なことなので、もう一度いう。
一回に2杯ずつしか作らないのである!
そう。
絶対に
いつだったか、私が数年前に、マサミに来た時、
私の前に某芸能人と思わしき方が、3名で来店していた。
その方々が、L字のカウンターに座りながら、食券を出すと、
「食券は聞かれてから出してもらえますか!」とマサミちゃんからのご指導が入り、
また3名であったためであろう。2名ずつしか出せないというようなことを言われ、座る位置までしっかりと怒られていた。
私はその時、誓った。
けしてマサミちゃんを怒らせるようなことはしまいと。
そして、逆にいえば、店内の誰もが、逆にいえば、
マサミちゃんのルールを破ろうとせん、ニューカマーの登場を
今か今かと待ち望んでいるようなそんな気すらする店なのである(ハプニング待ちのような)。
さて。そんな説明はさておき。
そのような過去の記憶があるため、私は、この後の展開がどういう事になるのか。
本当にドキドキしながら、マサミちゃんの一挙手一投足を見守った。
私とL字型のカウンターの対角線にいるサラリーマン風の2人組のところに
ラーメンが提供された(2・1・2の最初の2)。
そして、いつものとおり、ゆず七味の容器を回し、「後半になったら入れてみてください。」
というマサミちゃんの決め台詞も決まった!
さあ、次はどうするのか。
3個まとめて作るのか?それとも私の前の2人組を飛ばして、前の女性1人と私の2人分を先に?
ドキドキ
すると。
マサミちゃんは
ラーメンの容器置きを一つだけ、一人の女性客の前に置いた。
そして、その女性客から食券を預かると、
平然と1杯のラーメンを作り出したのである。
衝撃であった。
私の後ろにもまだ7名程度は待ちの客がいた。
その中で、あのマサミちゃんの一連のラーメン作りを一から、一人のために・・・。
確かに、2杯以上は作らないというマサミちゃんのルーティーンを守りつつ、かつ、それが公平や。
もはや感動である。
想像の斜め上をいく店。
これがマサミだ。
と思った。
ただ、こんなことになるのなら、そもそもカウンター席を7席という奇数にしていることが問題なんじゃないのかしら。
とかめちゃくちゃ大きな疑問符がわいてしまった私(だって、一人客が来ようが、偶数の席数しかなければ、ずっと2個ずつ作れますやん・・・・・・・・いや。)。
これは何なの?
拷問?(笑)
と、そうこうしているうちに、私の前の2人組のカップルのラーメンを作り始めたマサミちゃん。
待っている間に次に気になるのは、
真横のモニターから流れてくるメロディーである。
近づいた事でより音が大きくなった。
昔、初めて私がマサミを訪れた時。
横のモニターには、「チャップリン」の映画がずっと流れていた。
音のないチャップリンの映画と、決まった動きを繰り返すマサミちゃんのラーメン作りが
あまりにもマッチしていて、それも感動を覚えたものである。
しばらくはずっとチャップリンが流れていたため、私はマサミはこのまま変わらないと思っていたものであるが、
その後、久しぶりにやってきた数年前のいつかの時は、確か「ノッティングヒルの恋人」が上映されていて、
マサミちゃんの中にカラーという選択肢もあったのだと、何だかほっとすると同時に、
少し寂しくなったことを覚えている。
さて。そこで、すっとモニターを見ても、
私にはそのバンドが誰だかわからなかった。
時代でいえば、「バックトゥザフューチャー」?くらいの80年代くらいのアメリカの洋楽?
いわゆる長めのジャケットに細身のジーンズを合わせた、長髪の金髪男性バンドである。
待っている間、私はだんだんと、おそらくマサミちゃんの趣味なのであろうそのバンドの名前も知りたくなった。
Siriに聞けばきっと分かるだろう。
しかし、この店で声を出すことは至難の業である。
私は、マサミちゃんが麺の水切りに夢中になっている間に
この曲だれ?と小さくSiriに問いかけたが、「聞き取れません」的な回答が出た。
いらっとしながら、次のチャンスをうかがう私。
マサミちゃんがどんぶりに麺を入れ、
いったん汗を拭きに裏に入るその瞬間を狙って、
再度、「HEY SIRI この曲なんて曲?」と聞くとようやくSiriも気づいてくれた。
答えは「ジャーニー」
知ら~~~~ん。
なんか聞いたことのあるメロディーが一回は流れたのだが、
これは世代の問題なのかな?
すみません。マサミちゃん。
と、あまり意味のないことを考えていたら、
ようやく私の番が回ってきた。
マサミにおいては、食券を購入して席に着いたとしても、
食券を渡すのは、マサミちゃんに聞かれてからという暗黙のルールがある。
手に握りしめた小銭と食券は汗でびっしょりと濡れていた。
私と私の隣の本来は二人組で来店したかりゆし姿の男性のところに(それを指摘したら、私の分のラーメンも一人で作られていたのであろうか。)
おもむろに容器入れを置き、「食券を」と聞いてくれるマサミちゃん。
私は食券を出しながら、
勇気を出し、
私は、「肉増しっておいくらですか?」
と聞いた。
すると、マサミちゃんは、めんどくさがることもなく
「100円単位で、好きな金額を言ってくれればその分増やしますよ。」と説明してくれた。
何そのシステム~~~。
と少々面食らった私であったが、
想定していた300円でも足りる設定。
一応、初めてなので、「じゃあ~200円でお願いします。」。
と帰りのコインパーキング代を残そうとする、少しケチな私。
ようやく汗にまみれた小銭と食券を渡し終え、
あとは自分のラーメンを待つのみの時間がやってきた。
それから、これまでより、出す肉が増えたせいか、
肉をたたく作業を念入りに行うマサミちゃん。
私のせいでまた後ろの人たちの待つ時間が延びちゃうなあ。
申し訳ない。
と思いながら、待つこと10分。
ついに私の前に、
ふつうラーメン並肉増し(200円分)がやってきた。
そこで、まず、七味のボトルを開けながら、半分くらい食べた後に入れてみてください。
です。
その後、いつもと違う一言。
よかったら、これも入れてみてください。
が付け足されたのでなになに?とビビッていたら、自分で頼んだライスのためのごま塩でした。
優しいですよね。
マサミちゃん。
さて。話をラーメンに戻しましょう。

第一印象を言います。
え。肉増えてる?
です。(笑)
ただ、待ちに待ってます。
そんなこと言ってる暇はありませんので
まずは、スープをすすります。

はい!うまい~!
何でしょうね。
この味。
水のようなスープなんです。
なんていうか。
いわゆる出汁!
でもなく、塩!
でもない。
水のようなスープなんですね。
でもその奥にきちんと旨味が閉じ込められていて。
それでいて出すぎない。
なんでしょうね。
この味を食べると、
やはりこの繊細な人にしか作れない味なんだろなあ。
と思ってしまう。
そんな味。
その後、肉を一噛み(ここからは写真なんて撮ってません。すみません。)
うんわー。うめえ。
最後に振りかけられたフライドガーリックと、肉と、この麺。
そしてスープ。
いやあ。ライスも頼んでおいてよかった。
肉をしっかり受け止めてくれます。
そして、思った以上に肉がきっちり多くなっていることに今更気づきました。
マサミちゃん。ありがとう(いや、まあ当たり前といえば当たり前なんですが。)
その後はきちんとマサミちゃんの言いつけを守り、半分くらいのところで、七味を投入です(これもいきなり入れたらキレられるんちゃうかな?とか思いながら、誰かやってくれないかな?と期待する自分もいたり。)。
はあ~。これこれ。
この味変も旨いんですよ。
そして、ここにきて気づいたんです。私。
マサミでは、急いで食べる必要が無いんです。
だって、どうせ、自分が早く食べたところで、その次の3組のラーメンが出来上がらないと、次の方は食べられないわけですから。
そこではっと。
もしや、マサミちゃんのやろうとしていることはそういう事かと。
この何でもかんでも効率重視の世の中で、
急ぎに急ぎ、ロットを乱してはいけないなんて、ラーメン屋に来てまで、周りの目を気にして、人に気を使って、めちゃくちゃ並んで待ったくせに、食べるときには、急いで口にかけこまなければならないなんていう昨今の訳の分からない外食産業に、モノ申してるのかと。
外食産業の革命児なのかと。
そう感じながらも、結局、その旨さで結構なスピードで食べてしまいましたが、
最後はスープを少し残ったご飯にかけて、雑炊みたいにしてしっかりスープまで完飲したのでした。
何か、職人気質の寿司屋に来た時のような(こんな怖い店いった事ないけど)、とても充足した時間を過ごせました。
これが、マサミ体験です。
これが、ととのう。ってやつですかね(違います。)。
いや~。皆さんも時間があるときは、ぜひ行ってみてください。
そして、時間という概念から解放されるそんな修行のような体験をされてみてはどうでしょうか。
ご褒美として食べられるラーメンもとっても美味ですよ。
そして、マサミを体験して、どんな事を感じたか。ぜひ私にも教えてください。
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